2013年6月18日火曜日

キリスト教とユダヤ教と一神教の起源。


現在の私達の社会は、大きく捉えれば近代社会といえる。
近代社会は、西洋的な社会が世界のスタンダードになっている状態の社会。

→[西洋とは何か]がわからなければ、現在の私達の社会がいかなるものかを解することは出来ない。

近代社会の根拠になっている[西洋]の中核にはキリスト教の考え方がある。(西側のキリスト教)。
西洋とは、キリスト教に根を持つ文明であるからだ。

というわけで、キリスト教に関する理解を深める事は自身の属する社会を広く理解する上で意義があると言える。


○キリスト教とユダヤ教
キリスト教は、ユダヤ教から出てきた。ユダヤ教の宗教改革のような感じでイエスが登場し、キリスト教が出来た。
キリスト教の教典は、
新約聖書と
旧約聖書(ユダヤ教の教典)
である。

特徴として、どちらも一神教(人格を持った神)である。
(イスラム教も。)
我々には解しがたい一神教信仰がなぜこの世に生まれ、未だ大きな影響力を持っているのか。その起源を考える。


○一神教の起源→ユダヤ教の起源

1.戦争のための宗教連合。
神々の1つとして、シナイ半島で信じられていた破壊怒りの神ヤハウェ。
人種も文化もまちまちなグループだった(イスラエルの民)と呼ばれる人々は、
周辺民族と戦争する必要があったので、団結のため、ヤハウェを戦争の神としてみんなで信じた。(宗教連合をつくった。)
そしてこの一団が、カナンの地に侵入、定着していった。


2.王制とヤハウェ信仰を結び付ける

戦争するには、王がいた方が良い。王制を作るため、預言者が[GODが言っている。]と言って、王を選んだ。
→預言者(=神)が王を批判する体制に。

3.前622年、ヨシヤ王改革によるヤハウェ信仰強化(一神教に近づいていく)

モーセの律法書が見つかったと言って人々に読ませた他、偶像をなくしたりした。

4.バビロン捕囚で人々の考え方が変わり、ヤハウェは唯一神に格上げ(一神教に。)

バビロン捕囚で悩みに悩んだユダヤ民族は、うまくいかないのも攻められるのも、ヤハウェが決めたからなのだ!ヤハウェは世界を創造し、世界を支配している!自分達の罪を見たヤハウェが判断したことなのだ!
と考えるようになり、ヤハウェは世界唯一神になった。


5.エルサレム帰還後に、神は我慢した我々を認めてくれたということで、ヤハウェはより偉大な存在に。
(一神教として確立。)


(以降のユダヤ教)

6.バビロン捕囚中に神殿が無かったので、祭司、預言者の力は弱まり、律法学者の力が強まった。(エルサレム帰還後は預言者は弾圧されるように。→イエスも処刑された。)


7.イエス処刑後にエルサレムの神殿が破壊されて以降は、律法学者のみが残った。→現在のユダヤ教



*預言者の1人として現れたイエスを信じる人々が、ユダヤ教の異端とされ、キリスト教として分離した。




○旧約聖書[創世記]に記されているユダヤ民族の起源と、歴史

ヤハウェが人類を創造。
ノアのみが人類として生き残る。
その子孫であるアブラハムが、人類として初めてヤハウェに語りかけられる。(初の預言者)
預言を聞き、アブラハムは約束の地へ。そこで、片方の子イシュマエルはアラビア人の先祖に、片方の子イサクはユダヤ人の先祖に、なった。
そしてその子孫である預言者モーセに率いられ出エジプトし、シナイ半島→カナンの地へと移動。

*出エジプト辺りまでは、かなり神話的。途中から、リアルな歴史が書き記されていると考えられている。


【年表】
前1270 出エジプト
シナイ半島、宗教連合(イスラエルの民)
前1230 ユダヤ人、カナンに入植
前1020 王制の始まり(サウル王即位)
前926 王国分裂( イスラエル/ユダ 王国)
前722 イスラエル王国滅亡
→跡地にサマリア人(異民族のユダヤ教徒→現在のサマリア教団)
前622 ヨシヤ王による改革
前586 ユダ王国滅亡
バビロン捕囚(〜前538)




○ユダヤ教の律法について。
ユダヤ教では、生活ルールの全てが、ヤハウェ神の命令(契約)だとする。日常生活の全てが法律。
こうなるに至った理由は、ユダヤ民族の辛い歴史にある。

すごいと言わざるを得ないが、
ユダヤ民族は、様々に負けてきた歴史があるにも関わらず、いつも再集し、現在まで民族を保っている。
昔の賢人(おそらくヨシヤ王)が生活様式を神の律法と化し、守らせたことが大きい。
どんな場所に連れて行かれても、
その地で生活様式を守った。
それにより、どこにいても、ユダヤ民族であり続けた。自分達の社会を2000年に渡って保ってきた。
ユダヤ教の律法には、そんな意義がある。




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